アイスピック型のニキビ跡とは?
アイスピック型は、小さくても深いニキビ跡
アイスピック型は、皮膚表面の開口部が小さく、奥に向かって細く深く入り込むタイプの陥凹性瘢痕です。
一見、毛穴が大きく開いたようにも見えますが、実際には真皮深くまで及ぶ瘢痕であることもあり、マイルドなニキビ跡治療だけでは十分に改善しにくい場合があります。
そのため、個々の瘢痕に対するピンポイントの治療が重要になります。
TCA CROSSは有効な治療ですが、注意点も
アイスピック型の治療として知られるのが、高濃度のトリクロロ酢酸(TCA)を瘢痕内部に塗布するTCA CROSS法です。
臨床研究でも改善が報告されていますが、長引く赤み、炎症後色素沈着、瘢痕形成、元の凹みが周囲へ広がるような瘢痕の拡大などが問題になることがあります。
実際に2016年の比較試験では、TCAを使用した側に瘢痕の拡大が報告されています。
したがって、比較的簡便な治療ではありますが、適応と施術方法を慎重に選択する必要があります。
なつクリニックでのアイスピック型治療
簡易な治療である反面、影響がコントロールしきれない部分もあり、当院ではTCA CROSSは行っていません。
代わりに、炭酸ガスフラクショナルレーザー、2910nmのウルトラクリア、キュアジェット、ピコハイVMLAなどを用い、個々の瘢痕に対してピンポイントにアプローチしています。
治療によるダメージが予測の範囲内でコントロールできるような治療法を選択しています。
小さく深い瘢痕には「くりぬき法」も
外科的治療として、パンチ状の器具で瘢痕を取り除くくりぬき法(punch excision)があります。
当院では直径2mm以下程度の小さな瘢痕で、皮膚が柔らかく伸展性が良い部位などを中心に適応を検討します。
比較的簡便で、費用面でも検討しやすい外科的選択肢です。
ただし、くりぬいた部分には新たな創ができるため、固く厚い皮膚の場合、治療後もわずかに陥没が残る可能性があります。
ニキビ跡のクレーターは、必ずしも一つの治療法で対応できるものではありません。形成外科的な処置も含めて、瘢痕の形状に合わせて治療を組み合わせることが大切です。
参考文献
- Jacob CI, et al. Acne scarring: a classification system and review of treatment options. J Am Acad Dermatol. 2001. PubMed
- Dalpizzol M, et al. Comparative Study of the Use of Trichloroacetic Acid and Phenolic Acid in the Treatment of Atrophic-Type Acne Scars. Dermatol Surg. 2016. PubMed
- Thuy LND, et al. Comparing the Use of 80% Trichloroacetic Acid and 50% Trichloroacetic Acid for the Treatment of Ice Pick Acne Scars. Dermatol Surg. 2024. PubMed
関連情報
執筆 大原 奈津恵(形成外科医)なつクリニック院長


